痛いのはまだ歯を食いしばって耐えていれば良かったけれど、あのすべてを持って行かれるような感じは自分でもどうしようもなくて怖くてたまらなかった。

 は外に勝手に出ることを許されていないし、ジュダルの部屋にいなくてはならないので逃げ道はない。足も悪いので、出来ることも限られている。それでも衣装入れの中に隠れてみたり、いろいろと考えたが、あまりうまくいっていない。毎日引きずり出される状態だ。

 でもまた同じ事をされるのが怖くて、ジュダルの前に立つのが嫌だった。



「・・・ぅ、」



 わからないものを知るのは怖い、怖いものはわからないほうが良い。そう、怖い物は知らない方が良いのだ。魂の奥に刻まれた記憶が叫ぶ。



「おまえなぁ、衣装入れなんかに隠れんなよ。」



 ジュダルの呆れたような低い声が響いて、抵抗する暇もなく衣装入れから抱き上げられる。またあの感覚を味わうと思うと体の震えが止まらない。どうやって拒んだら良いのかもわからなくて、目をきつく閉じていると、柔らかい感触のするところへと下ろされた。

 それが寝台だと気づいて、震える手をもう片方の手で押さえる。



「おいおい、なんでそんなにびびんだよ。おまえ、俺が今まで何してもそんなびびらなかったじゃん。」 



 ジュダルはの顔に自分のそれを近づけ、不思議そうに言う。



「・・・」

「痛い痛いって言うから、気持ちよくしてやったろ?」

「こ、怖いもん、」

「はぁ?」

「痛いほうが、良かった・・・わからないのは、」



 怖い、と声を震わせる。するとジュダルは眉を寄せて、の翡翠の瞳をのぞきこんだ。



「でも、気持ち良かったろ?」

「そ、それは、その、」



 良かったのかもしれない。でも引っ張られて訳がわからない、あの制御できない感覚が怖い。



「ん、じゃ、慣れれば、怖くないだろ。」

 ジュダルは実に短絡的な答えを返す。



「え、慣れるって、またするの・・・?や、だ、」



 はじりっとジュダルから逃れるように後ろに下がろうとする。だがジュダルはの手をひき、寝台に仰向けに押し倒した。




「あ、そうだ。紅炎に言われたんだった。」

「え?」

「今日はするけど明日はしねぇ。それで良いだろ?」



 だから我慢しろ、と言う意味なのだろう。は唇を引き結んで、首を横に振る。



「ぃ、いや、」

「はぁ?譲歩してやってるだろ?」

「だって、ぃや、この間のは、」



 イかされるのは、怖いから嫌だ。痛いのは我慢するけれど、それよりもイかされる方が嫌で、は首を何度も横に振った。



「そんなん駄目だろ。慣れろって話したばっかりじゃん。」

「うぅ、」

「じゃあさ、一回。慣れるまでは一回な。」



 ジュダルは決定事項のようにに言う。はそれすら嫌なのか、翡翠の瞳を潤ませたが、震える手をジュダルが握ると、観念したのか、目を伏せた。

 ジュダルはの太ももを撫でながら、服をたくし上げる。そしての下着の中に手を入れ、そこを撫でた。元々ジュダルも快楽を追うだけなので、自分が入れて痛くない程度の前戯をして、入れるだけだった。だから慣れていないは痛いのだ。



「後が良い?先が良い?」

「・・・あと、」

「おまえ、嫌なことからとことん逃げるなぁ。馬鹿だろ。」



 嫌なことは先に終わらせるニコしたことはない。後でも先でも、イかされることに変わりはないだろうにできる限り長い時間逃げたいらしい。



「ちょっと濡れてんな。」



 ジュダルはの太ももに軽く吸い付いてから、の秘部に触れる。怯えているのか小さくては震えて、シーツを掴んでいた。この間と同じように突起に触れると、は表情を歪めて翡翠の瞳に涙をたたえる。



「あれ?でもこれってここ触りながら、中に入れたらどうなんだ?」



 ジュダルはふと跳ねるのそこを眺めながら、あふれてくる液体をすくい取る。

 いつもは中をほぐすのにも痛いし、濡れにくいのでだいぶ嫌がるが、突起に触れると愛液はあふれてくる。少なくともそうすれば、さっさと前戯を終えることが出来るし、ちゃんと濡れるからこちらも入れた時に引きつらなくて良いだろう。

 の痛みも軽減されるはずだ。




「あ、やっぱ先な?」

「えぇ!?」

「どっちでも一緒だろ?」




 やることに変わりはないが、は酷く怯えた目でジュダルを見た。その独特の熱を帯びた瞳が誘っているような気がして、ジュダルは目を細める。




「こ、こころ、の、準備が、」

「んなの、今更だろ。」




 最初に抱かれた時も、心の準備なんてなかっただろうに、今更言われても知らない。


「うぅ、あっ、あ、」



 ジュダルが花芽をこすると、は枕に顔を押しつけて、くぐもった声を上げる。白い体がぴくりと反応するその浮き出る柔らかそうな腹が何やら扇情的で、ジュダルはの顔に自分のそれを近づけて笑う。



「ほら、隠すなよ。」



 目尻を覆う、濡れた銀色の睫も、潤んだ翡翠の瞳も、ぞくぞくする。辛そうに眉を寄せる姿もぎゅっと枕を握りしめている細い手も、弱そうなすべてを支配したくて、たまらなくなる。

 の反応を伺いながら、ジュダルはの中に指を滑り込ませる。その途端に熱に迷っていた彼女の表情に苦痛が混じる。だが花芽をこするときついながらも、痛みを僅かに忘れられるようだった。



「入れても、こいつイけんのかな。」



 花芽を探ると、酷い締め付け方をする。指を入れるだけでも痛いほどだったが、これだけ濡れているなら入ることは入るだろうし、気持ちよいかもしれない。

 ジュダルは自分の快楽には忠実で、ほど恐怖はない。




「うぅ、あつぃ、」

「痛くねぇなら、良いんじゃね?」



 実に短絡的な答えを返して、花芽をこすりながら中をほぐしていく。花芽を探ると簡単に濡れるので、ほぐすのもそれほど難しくない。何で最初からそうしなかったんだろうかとばからしくなる。




「ぁっ、ひっ、」

「おっと、イくなよ?一回って約束だからな。」




 一応、約束は一回しかイかせないというものだ。の様子を窺いながら、ジュダルはのそこに自分をあてがう。ひくりと彼女のそこが反応したのを確認してから顔を上げると、は怯えきった目をしていた。



「なんだよ、いつものことだろ?」



 言って圧力をかけると、いつもは酷く痛がるのに、今日はきついながらも徐々にジュダルを飲み込んでいく。



「あぅ、っ、ん、うぅ、」

「っ、いけんじゃんっ、」



 ジュダルは僅かに眉を寄せて、奥まで自分をおさめる。奥を軽く押すように動くと流石に彼女も表情を歪めたが、今日はそれほど痛くないらしい。



「さて、」




 ジュダルは自分を落ち着け、体を安定させると、結合部分に触れる。の翡翠の瞳が丸く見開かれてジュダルを見上げる。



「あ、俺忘れないぜ。一回な。」



 ジュダルはそう前置きをして、何の遠慮もなく花芽をこする。



「ひゃっ、あ、じゅ、ジュダルっ!やめ、やめてっ!」



 熱がすべてを支配すると同時に、中にあるジュダルのものを思い切り締め付ける。それは酷い刺激になってを苛む。制止の声を上げたが、ジュダルにとっては心地よいことそのものだった。




「っ、う、やっば、すげぇ良いじゃんっ、」




 ジュダルは唇の端をつり上げ、笑い、の花芽に触れながら動く。




「あぁあっ!うぅ、やっ!」



 激しい熱と快楽に耐えられないはジュダルを止めようとするが、肩をひっかく程度の効果しかなく、結局身を任せる以外に選択肢はなかった。




神官様の枕事情