次の日先に目が覚めたのはギルベルトの方だった。
昨日は式の疲れもあり、初夜の後はすぐに爆睡したが、もう朝なのか日が高い。時計を見ればも
う朝と言うよりも昼と言うべき時間帯だった。そう言えば一応今日昼からフリードリヒに夫婦揃って
挨拶に行く予定だったが、大丈夫だろうか。
腕の中にいるを見下ろすと、目元はまっ赤だったが、安心したように眠っていた。彼女も疲
れていただろう。ギルベルト以上に式の時も緊張していた上に初夜でギルベルトが調子に乗った
ため、彼女は体力を使い尽くした感じで疲労困憊の様子だった。
の亜麻色の髪がベッドの上に散っている。それをそっと整えるように撫でて、ギルベルトは
枕に自分の頭を戻した。小さな欠伸をして、またを眺める。長い亜麻色の睫毛がかかる目元
は赤いが、それすらも可愛いと思う。多分フリードリヒの言うとおり、惚れた男の可愛いほどこの世
に当てにならない評価はないだろう。なんでも可愛いと思える自分に、ギルベルト自身でも笑って
しまった。多分他人は気持ち悪いと思う。
亜麻色の髪を撫でていると、の瞼が震えて、うっすらと紫色の瞳が現れた。寝ぼけた目は
とろんとしていて、ゆっくりとギルベルトを見て首を傾げてから、我に返ったのだろう、はっとして顔
をまっ赤にして俯いた。
「おはよう、、」
「ぁ、はい。おは、よう、ご、ざいます。」
は俯いたまま途切れ途切れに朝の挨拶をする。
そう言えばまだ裸だった。ギルベルトはをぎゅっと抱きしめると、肌が触れあってくすぐった
いのか恥ずかしいのか、はますます頬を染めて、俯いた。それでも躯を添わせていれば硬
直していた彼女もだんだん体の力を抜いた。
「体、大丈夫か?」
「…少し、痛いですけど、」
「本当に少しか?」
ギルベルトは困ったように笑っての背中を撫でる。はびくりとして体を震わせたが
次の瞬間痛みに表情を歪めた。やはり痛いらしい。
「ほら見ろ。女は痛いって聞いてるからな。ま、徐々に痛くなくなるさ。」
「そ、う、なんですか?」
「あぁ、そういうもんだ。ゆっくり教えてやるよ。」
ギルベルトは得意げに笑っての背中からお尻にかけての線を手のひらで撫でる。すると
は仕返しだというように、目の前にあったギルベルトの胸毛を引っ張った。
「ギル、は、案外、細くないんですね、」
はギルベルトの二の腕を掴んで言う。
軍人なので昔から鍛えているし、当然筋肉がないなんてことはあり得ない。体はそれほど大きく
はないが、しっかり訓練はしている。
「は見た目と同じくらい細いけどな。もちょっと肉つけろよ。女は柔らかい方がいいぜ。」
「…なんだか、変態っぽいですね。」
「おまえ、初めて会ったときも思ったが案外ぼそりと酷いこというよな。」
「え、そうですか?」
自覚はないらしい。まぁいいかとギルベルトは思う。
俯いてものを言わない彼女だが、思っていることはいろいろとある。それをあまり口にしないの
が常だった。長く一緒に人生を歩むのだ。言ってくれた方が良い。
「あぁ、幸せ、」
ギルベルトはを腕に抱き込んで、ごろりと一回転する。広いベッドは多少のことをしても
落ちない。は驚いて悲鳴を上げて、ギルベルトの首に手を回した。
「本当に、夢みたいに幸せですね。」
はギルベルトの背中に手を回して淡く微笑む。その頬をギルベルトはぎっと引っ張った。
「夢じゃねぇよ。馬鹿。」
夢だなんて思われる方が心外だ。ギルベルトはがりがりと頭を掻いて身を起こす。も毛布
で体を隠しながらゆっくりと身を起こした。その拍子にさらりと亜麻色の髪が白い肌を滑って、首
筋があらわになる。そこにはいくつも赤い痕があった。歯形も一つ、深く着いている。昨晩ギルベ
ルトがつけた痕だ。ハイネックのドレスを着なければ絶対ごまかせないほどに、たくさんの痕がつ
いている。
ギルベルトは黙って、首筋の歯形に手を沿わせる。は大きな手の感触がくすぐったいのか
小さく笑った。ギルベルトはのあまり豊満とは言えない胸を軽く掴むと、は掠れた声
を上げた。ぞくりとした高揚感がギルベルトを支配する。
「やっぱ、もっかいかな。」
「え、」
訳が分からないという顔をしているをベッドに仰向けにしてギルベルトは馬乗りになる。
「ぁ、え、ぇえ!」
「させろよ、」
「で、でも、今、朝、」
「関係ねぇよ。朝でも昼でも、」
あわあわと拒絶するを丸め込んで、ギルベルトは彼女の胸を揉む。は身を捩って嫌
がったが、すぐに膝を割って自分の体を滑り込ませた。
「ギル、」
「ほら、足開けよ。」
太股と掴んで、ぐっと開かせると、昨晩ギルベルトを受け入れたところが赤く熟れているのが見
えた。大きな窓がある室内は昨晩と違って明るい。は顔をまっ赤にして目に涙を溜めた。
「や、やめて、くださいっ、見ないでっ!」
「良いじゃねぇか。どうせ昨日見たわけだし、」
ギルベルトは恥ずかしくて堪らないという顔をするに構わず、の秘部の上にある突
起に触れる。隠れたそれは軽く押しただけでに快楽を伝えるらしい。体が跳ね上がった。
「おまえ、此処良さそうだよな。ってか昨日も浅いけど中でもイったし、才能あるかもな。」
上の突起で快楽を感じるのは女なら誰でもだが、やはり中ではすぐにイけない。なのには
中の浅いところが気持ちいいのか、そこを探るだけで良い反応を返していた。
「ぅ、な、なに、ですか?」
「こーこ、」
ギルベルトはの手を掴んで、突起に触れさせる。自分で触っても感じるのか、は一
瞬人差し指が触れただけで声を上げて手をのけた。
「な、にが、」
自分でも見たことのない場所だったらしい。は少し体を起こし自分の足の間を見つめる。
だがよく見えなかったらしく、すぐにベッドの枕に頭を預けて顔を背けた。ギルベルトは意地悪
く笑って、ふにふにと突起を人差し指と親指で挟んで押して、苛める。
「ひっ、ぁ、あ、ぅ、」
は口元を両手で押えて、恥ずかしそうに喘ぐ。気持ちがよいらしい。慣れていない
はとろんとして快楽に酔っているくせに怯えた瞳をしている。荒く息を吐いて息も絶え絶えで、く
しゃりと表情を歪める。
「どんな、感じだ?」
「うぅ、ん、…なに、か、く、」
「気持ちいか?」
「わ、わか、ん、くる、しぃっ!」
まだ気持ち良いとまでは認識できないようだ。息が苦しいとは声を震わせた。迫り来る感
覚も彼女を戸惑わせる原因なのだろう。
「熱、くるか?」
「うっ、ん、うん、…いっ、や、だ、」
ギルベルトの質問に頷いてから、イきそうなのか、ふるふるとは目をきつく閉じて首を振
る。感覚から逃れようと身を捩る。ギルベルトはを逃がさないように押えながら、耳元で囁
いた。
「それが、イく、だ。」
「い、」
あぁ、楽しい。心からそう叫びたい気分で、ギルベルトはに教える。
昨晩はギルベルト自身も夢中になりすぎて、にそう言ったことを教えなかった。それでも
満足感もあったのだけれど、これからなお楽しむならば、少しずつそう言ったことを教えておいた
方が楽しそうだった。
「イくのか?、」
「いぃ、ぅ…、く、いく、いくっ!」
その言葉に縋るように、は苦しそうに何度も口にして、きゅうっと体を硬直させ、頭の横に
置いてあったギルベルトの手をぎゅっと掴んだ。高い悲鳴が終われば、痙攣にあわせて掠れた声
が漏れる。ギルベルトはの頭をそっとなでつけて、の額に口付けた。
貴方という存在に埋没する