「日めくりカレンダーなんかおいて、三日分しかめくってないじゃないか。」





 神威は柱に打ち付けてある日めくりカレンダーを見て、呆れたようにを振り返る。

 1月3日までは休みだったがはその後仕事が立て込み全くと言って良いほど休みが取れなかったのだ。神威との約束で一応書類を部屋まで持ち込むことはなくなったが、それでも忙しさは変わらない。

 そのせいで1月1日置いた日めくりカレンダーは3日分しかめくられていなかった。






「日めくりカレンダーって最初は楽しいのに、すぐに忘れるんだよね。めくるの。」







 は小さくため息をついた。





「あれ?そういや、東は?」

「阿伏兎の所にお泊まりに行ったよ?」

「マジで?なんで阿伏兎のところに?」

「なんか、ゲームしたいって。」

「え?あの子もうゲームなんて出来るの?」

「うん。端末とか、結構普通に使ってるよ。太鼓の○人が面白いらしい。」





 最初はぽこぽこと音が出るのが面白かっただけのようだったが、ゆっくりと簡単な曲をやらせていると徐々に覚えたようだった。 神威としてはあまりゲームを歓迎しているわけではないが、P○Pやりたさに阿伏兎を追い回すようになっていた。

 そのためたまにはと思ってお泊まりを許したのだ。





「ふぅん。すごいね。」






 は素直に目を丸くする。

 子どもに目を配ってはいるが、忙しさもあってあまり一緒に最近遊んでいないため知らなかったらしい。東の成長は存外早い。

 最近では勝手に端末をいじくるようになり、少しだけだが文字にも興味を持つようになっていた。





「ちなみにそのカレンダーの数字がすすんでいないのに気づいたのも、アズマなんだよ。この間阿伏兎のところでごきぶりとっててびっくりしちゃった。」

「それはびっくりだよ。でも本当にわかってるのかなぁ。」

「わかってるよ。」






 神威は唇を尖らせて言う。

 めくられないカレンダーは変わらないが、放って置いても子どもは淀みなく成長する物だ。ただあまり放って置くのは良くない。





「少し生活態度を改めないと駄目だよ。アズマにも良くない。」





 神威は軽くの頭をぽんぽんと叩く。

 もともとはあまり生活習慣が良くない。朝遅く起きて、夜遅く寝るのが常で、特に第七師団で仕事をし始めてからそれが顕著だ。そのため、健康的な生活をしている子どもと生活時間が合わなかった。





「うーん。神威がたたき起こしてくれるならね」





 は小さく笑って、神威に言った。


日めくりの成長