『なでいえろーかーどは、きいろでか?』
第七師団の目安箱に入っていたのは、明らかにの息子である東が書いたであろうたどたどしく間違いだらけの汚い字だった。
ただ、3歳児だと言うことを考えればよく書けている。
「…何でなんだろうな。おじさん馬鹿だからわからねぇわ。」
阿伏兎はその質問に賛同する。
確かに当たり前のようにイエローカードと言うが、何故イエローカードなのだということを真面目に聞かれれば理由は思い当たらない。
「そこんとこ賢いちゃんは知ってるんじゃねぇの?」
阿伏兎はに目を向ける。黙々と書類をしているは少し考えてから口を開いた。
「黄色は警戒色だからでしょ?ハチと一緒だよ。」
「じゃあレッドカードはどうしてレッドなの?」
神威はの答えに首を傾げて、もう一枚のカードを思い出す。
「それは、もうだめって言う意味だよ。」
要するに黄色は気をつけて、赤色はもう駄目と言うことだ。赤は所謂危険色というやつだ。
「信号とかもそうでしょ?青はOK,黄色は気をつけて、赤はアウトだよ。」
「確かに、赤はもうおしまいって感じがするよね。血も赤いし。グリーンカードはなんかエコな感じするもんね。」
「グリーンカードってどこぞの移民大国の移民のかーどじゃなかったっけ?」
「あそこ人種のサラダボールって言われてるじゃないか。グリーンカードなんてなかなか粋でしょ?」
「いや、そういう意味じゃねぇだろ。」
阿伏兎は一応突っ込んで、歪な質問の文字を見る。
「それにしても賢いねぇ。俺は3歳の頃に字なんて書けなかったと思うがね。」
「阿伏兎に字が書けたことなんてあったの。誤字脱字だらけじゃない。」
「うるせぇ!おまえに比べちゃみんな赤ん坊だろうさ!」
は学問に関しては得意中の得意だ。宇宙の公用語であれ地球語であれの右に出る物は少なくともこの第七師団にはいない。
「神威の髪はもしかして危険色なのかな。」
はしばらく黙って神威を眺めていたが、軽く小首を傾げて見せる。
神威の髪の毛は鮮やかなオレンジ色だ。赤と言っても遜色はないほど鮮やかな色合いを見れば、何か意味があると思わざる得ない。
「殺されたいの?おまえの目が黒いのは腹が真っ黒だからなの?」
神威はいつもの貼り付けた笑みを浮かべたまま言った。
色判断