『正直言うと、黄瀬くんが今は一番性格的にはしっくり来ます。バランスも良いし。今は特に親しみやすいです。』







 によるキセキの世代の中で、黄瀬への評価が一番好意的だった。

 彼が入ってすぐ、青峰はとつきあい始めた。前から彼女のことは好きだったが、新しく入ってきた黄瀬と彼女が何やら仲よさげなのを見て、焦って告白したのだ。彼女が承諾したと桃井に言うと、少しぽかんとした顔をしていたのを覚えている。




『意外だった。、新しく入ってきた子とくっつくかと思ってた。やっぱりテツ君と好きな人は似てるってことなのかな。』






 キセキの世代の中で、どちらかというと黒子は黄瀬、青峰と仲が良かった。同じように双子の妹であるが二人を好むのは共通点があるのかもしれない、と桃井は示唆していた。

 実際に今の黒子の光である火神と、よく話す黄瀬は、とも仲が良い。対して黒子が苦手とする緑間が同様に苦手なことは、青峰も聞いていた。そして同時に中学卒業から黒子とほとんど口をきかなくなってしまった青峰との関係性も悪化した。

 カウンセリングの手法として、否定をしないのが一般的で、それは彼女にとっての特別の証でもある。だがよく考えてみれば、青峰にが突きつけた否定は、別れ話だけだった気がする。




「じゃあなんだよ。受け入れれば良かったって言うのかよ。」




 別れ話を受け入れていれば、彼女の特別になれたとでも言うのだろうか。彼女を手放して、彼女の特別になってどうする。

 だが少なくともあの時彼女の言葉を受け入れていれば彼女と無理矢理行為に及ぶことも、脅迫して今の関係を維持することもなかっただろう。あの時なら確かにまだ、元に戻れたのだ。少なくとも彼女は約束通り桐皇を受験し、自分の隣で笑っていたのかもしれない。

 でも、笑っていたとしても、彼女が桐皇に来たとしても、誰か他人のものになるというのなら、青峰はそれを受け入れられなかっただろう。

 結局行き着く先は同じだ。




「何か言いました?」





 隣に並んで歩いていたが顔を上げて、首を傾げる。どうやら身長差があるため、青峰の呟きが聞こえなかったらしい。




「何でもねぇよ。」

「・・・そう、ですか?あ。」 






 突然彼女の携帯電話が鳴り出す。少し面倒くさそうに携帯電話を取りだしたは、一つボタンを押して電話に出た。







っちいいいいいいいいい!!』






 けたたましい声が携帯電話越しに響き渡る。それは青峰が一番聞きたくない黄瀬の声だった。あまりの大音量に耳が痛かったのか、は珍しく眉を寄せて、少し自分の携帯電話を話してから、小さく息を吐く。




「なにですか。黄瀬君。」

『大変なんっスよ!テスト日間違ってたんっスよ!!』

「・・・本末転倒じゃないですか!」





 勉強予定はあくまでテスト日から逆算して作られている。テスト日が違うとなればその計算もおかしくなってくるので、意味がなくなる。




『明後日数学っス!!どうにかして!!本当にごめん!!』

「わかりました。明日徹夜につきあいますよ。明日黄瀬君の家に・・・」

「はぁ?おまえ一応男の家だろ!?」






 青峰は慌てて止める。帝光中学の頃から合宿などで一緒に泊まったりしていたため、あまり男女だとか、そういう考えがなかったのか、は少し考えたように視線を宙に浮かせて、考えるそぶりを見せた。

ひまわりと太陽の焦燥