元々身体がそれほど強くないため、息を整えるのが難しい。だが身体の奥にくわえ込んだ熱が身体を苛む。



「っ、痛くねぇか?」





 自分の上に乗っている状態のを支えながら、青峰が尋ねる。




「ぅ、う、」




 首を縦に振ってから、苦しさのあまり呻いて、彼の肩に手をあて、自分の身体を支える。痛くはないが、散々時間をかけて慣らされ、すでに体力は限界だ。体勢は腰を下ろしただけのためそれほど辛くはないが、苦しい。

 今日は時間をかけて中を解されたせいか、痛みも少ない。代わりにこみ上げてくる熱に耐える方が苦しくて、彼に縋り付いた。




「んっ、とに、胸でけぇな。」




 青峰の大きな手が胸を押し上げ、先端を押しつぶす。





「っ、ぅ、」

「くっ、締まった。気持ち良いのかよっ、」





 刺激に反応して身体がびくりと反応するのを、青峰が笑う。彼をくわえ込んでいる場所が収縮するのが酷く恥ずかしいことだと知っているのに、その感覚が勝手に身体を煽って、表情を隠そうと彼の肩に顔を押しつける。涙か、汗か、湿った感触が気になる。





「はっ、苦しそうだな、おまえ、俺は余裕あんだけど」






 青峰は言って結合部の上にある、彼女の小さな突起に触れる。





「やっ!」

「ぐっ、ちょっ!おまっ、」




 あまりに強い刺激に反応して身体を震わせて締め付けると、寄り添っている彼の身体も反応する。何度かすでにイっているため、には全く余裕がなく、小さな刺激でも簡単に身体が反応し、彼のものを強く締め付ける。

 加減できる余裕などあるはずもない。





「はっ、」





 彼は自分を落ち着けるように動きを止め、息を吐くと、青みがかった漆黒の瞳でこちらを窺うように見て、目尻を下げる。




「苦し、そう、だなっ、」





 宥めるようにぎゅっと身体が引き寄せられ、抱きしめられる。その温もりが温かくて、彼の肩に頬を預けて安堵の息を吐いた。

 前のように、背筋が凍るような恐怖はもう感じない。あるのは苦しさと、溶けてしまいそうな熱だ。初めて感じる感覚にどうして良いかわからず、何度も高見に上り詰めるのは辛い。それでも痛みはなくて、例えようのない快楽がそこにあった。





「あ、お、峰っ、くん、」

「っ、大丈、夫か?」






 青峰が少し眉を寄せて、尋ねる。今日の彼は質問が多い。今日はしきりにこちらの様子を気にしてくれる。それは何故なのだろう。

 彼は自分を好いてくれていて、自分も彼を好きで、でもだからこそ、彼が辛い思いをしているのを見るのが悲しくて、友人を追い詰めるのに荷担した彼が許せなくて、何故、好きなのに離れなくてはならないのだろう。

 涙をこぼしながら、はどうしたらよいのかわからなかった。



涙の海