「ええええええ!が青峰くんの告白承諾した?!」
桃井は思わず大声で叫んでしまった。目の前にいる黒子テツヤは目をぱちくりさせる。その隣にいた紫原もぽたりとお菓子を落とした。赤司は興味深そうに椅子に座ったままそれを聞いて、少し意外そうに目を開いた。
今話題に上がっているは黒子テツヤの双子の妹、告白した青峰大輝は桃井の幼馴染みである。
「それ、本当なの?!」
「えぇ、昨日から聞いたので間違いないと思いますよ。」
に直接聞いたのだから、聞き間違いはないだろう。
「そんなに意外でしたか?」
黒子は逆に不思議そうに桃井や紫原、赤司を見る。
「んー・・・ちんの嫌いなタイプだと思ってた。」
落ち着いていつも優しい印象のあるは、どちらかというと知的なタイプが好きだと思っていた。青峰がのことを好いているのは予想通りだったが、は比較的万人に優しく、やんちゃで馬鹿な青峰の告白を承諾するとは誰も思っていなかったのだ。
「青峰くんの気持ちは知ってたけど、、てっきりきーちゃんのこと好きだと思ってたよ。」
桃井は自分の幼馴染みの顔を思い浮かべる。
物静かでどちらかというと知的な彼女とがさつでやんちゃなバスケ馬鹿の青峰を並べても、酷くアンバランスな印象しかない。正直対極と言っても良いだろう。成績も対極なのだが、どちらにしてもあまりに想像できないカップルだった。
「大輝の気持ちは知っていたが、特に涼太が来てからは、てっきり明るい涼太を選ぶかと思っていたよ。」
赤司も予想外だったらしく、桃井と同じ意見を返した。
新しく入ってきた黄瀬とは何故かすぐに仲良くなった。おそらく青峰が告白したのも、黄瀬とが仲がよいことに焦ったからだろう。それは予想していたが、まさかが告白を受け入れるとは予想外だった。
赤司の予測はおおかた当たるが、はそれを覆すことがあった。
「でも、は青峰くんのことが前から好きでしたよ。」
「ええええ!?そんなこと聞いてないよテツ君!」
「見てたらわかりませんか?」
黒子としては双子の妹の表情を読むのは簡単な話だ。彼女はすでに随分前から青峰のことを目で追っていたし、完全に興味がバスケが好きな人ではなく、青峰本人に移っていた。
だが兄姉以外から見れば、そうではないらしい。
「ちん、結構わかりにくいよ。いつも笑ってるから。」
紫原は眉を寄せて、黒子にそう返す。
彼女はカウンセリングをしているだけあって、穏やかで優しく、誰もがすべてを話したくなるような空気を持っているが、実際彼女自身の感情はよくわからない。自分たちは彼女にすべてを話しているはずなのに、彼女がどう思っているかはよくわからないのだ。
「そうですか?まぁ、奥手なのでなかなか言わないし、どうするだろうなと思ってたんですけど、くっついて良かったです。」
「あははは、確かに。青峰くんったらいつから好きだったのか知らないけど、もーずっと言ってたし、誰が見てもバレバレだったもんね。わかりやすすぎ。」
黒子と桃井は思わず肩をすくめて笑いあう。それは互いが二人をよく知っているからだ。
「うん。そっちは気づいた。」
紫原も流石に独占欲丸出しでわかりやすい青峰の恋愛感情には気づいていたらしい。明日になったらキセキの世代全員に話が回っているだろう。青峰はおちょくり回されるに違いない。は頬を染めて、はにかむだろう。
それを想像しながら、黒子は思わず小さく笑ってしまった。
野次馬の井戸端会議