音の国との国境近くの村の忍が木の葉から巻物を盗んだのは数週間前の話だ。

 だが、村の忍はそれを自分の村のためではなく、研究所に渡した。




 その研究所は音関係らしく、暗部の尋問にてそれがわかった。





 研究所自体は湖の真ん中にあり、結界が張られていてどうしようもないものだ。

 結界は二段になっていて、媒介を通して湖をすっぽり包む結界が張られ、また、その媒介にも結界が上から張ら
れている。

 媒介を壊さなければ何度も結界は張り直されるため、壊せない。

 この任務はの炎で結界を張っている媒介を壊し、研究所に侵入して研究所と巻物を奪還する。










「まぁ、小さな研究所らしいから大丈夫だ。」








 背中にいるを安心させるためにイタチは言う。



 イタチがいるとほっとするのか、はこくんと頷いて笑った。

 不安はもう払拭された。

 ただ、イタチの同行に、サスケはこれ以上ないほど不機嫌だった。







 でも、イタチの同行は仕方がない。




 は自分の血継限界が制御できない。

 チャクラがあまりにも多く、感情が高ぶったり恐怖にさらされると、白炎という数百万度もの炎を大量にはき出
すことがある。





 そのため、のチャクラを半分肩代わりしているイタチが必要となる。



 イタチはチャクラ制御がうまく、そのために、チャクラがあまりにも多く体調を崩してばかりいたのチャクラ
を半分肩代わりした。

 それでものチャクラは多いが、イタチは肩代わりしたチャクラを共鳴させて、のチャクラを間接的に制御す
ることができる。

 がチャクラ制御に失敗したときのストッパーなのだ。





 イタチがいればの能力はそれほど危険ではない。



 その辺の事情を、サスケは知らないのだ。

 いつの間にかも落ち着き、イタチはを地面におろす。









「ありがとう、」

「どういたしまして、姫宮。」









 はにかむに、イタチは本当に和やかに笑い返した。

 ゆっくりと丘を登ると、水に満たされた湖の中心に霧に包まれ隠れた灰色の建物が見える。

 カカシとイタチは同時に真剣なまなざしを向ける。


 忍らしき人物が走っている。




 湖の大きさは周囲一キロで丸く、隠れる木や木陰が少ない。 

 平地にあり見渡しも良いため、下手に動けば彼らがすぐ集まってくるだろう。








「十八人いるよ。」









 千里を見通す透先眼を持つが薄水色に変わった瞳で忍の数を数える。

 どのレベルの忍かはわからないが、こちらの戦力は上忍ふたり、下忍三人、オプション一人だ。

 分が悪すぎる。









「なんだかお顔が怖い・・・。」








 オプションのはすでにやる気も気合いもない。

 忍びの顔、音のものの強面におびえている。

 能力的にはカカシに匹敵するのに、彼女は常に気力に乏しく抜けている。









「大丈夫、サスケ君がいるわ!」









 サクラはサスケにしか目がなく。









「サスケなんて弱弱だってばよ!」

「あぁ?やんのかおちこぼれ。」







 ナルトとサスケは喧嘩ばかり。

 この四人、特には才能さえなければ戦力外通告だ。









「・・・・・・イタチ、とはいつ結婚するの?早めに身を固めてちょーだい。」








 カカシは頭を掻きながら四人をみる。









「身を固めても不仲の解決にはなりませんよ。」








 しれっとイタチは言って息を吐いた。



 敵の忍が巡回する湖。





 死人を出して勝つのは簡単だが、上に立つもの考えるのは仲間全員が生きのこり、かつ任務を遂行するに一番に
良い策だ。

 イタチは地面に落ちているとがった枝を拾う。








、」








 小柄な少女を呼んで、駆け寄ってきたにそれを渡して耳元で2,3語告げる。









「ん、わかった、」








 は楽しそうに笑って何度も頷いた。









( それは 人が考える 意見 戦法の意志 )