「母上が言ってたけど、ナルトの性格ってクシナさん似なんだってね。」
は簪を見ながら、ナルトに笑う。
「母ちゃんもそう言ってたってばよ。」
「うん。なんかクシナさんも勉強できなかったらしいね。」
「・・・マジかよ。」
「まぁ、わたしの母上とうちはのおばちゃまはクシナさんと友達だったらしいから、今度聞いてみたら良いよ。」
「そっかー俺たち母ちゃんの頃から友達ってことだな。」
ナルトはにっとに笑って見せる。
「そういうことだね。」
はナルトに答えるように笑って、はにかみながら簪をちりちりと鳴らして見せた。
「、その赤いのが良いのか?」
イタチがの持っている簪を見て、他の簪も示す。
「おまえ髪が紺色だからな。赤でも良いが、黒でも落ち着いていて良いと思うぞ。」
同系色の蒼系はあまりに会わないだろうが、黒も赤も似合う。ただは童顔なので、黒は落ち着きすぎているかも知れない。
「うーん、どうしようかな・・・」
「どっちでも良いんじゃないか?」
サスケが面倒になってきたため、に早く決めてしまうようせかす。
「・・・だからおまえは駄目なんだよ。」
はーとイタチはサスケに向けて盛大なため息をついた。
「何が駄目なんだよ。」
「そう言う自己中なところが嫌われるんだ。、気にせず迷っていて良いぞ。」
彼はぽんとの背中を叩いて、を慮る。
それを見ていたサイとナルトは何となくイタチが上忍の女性に絶大な人気がある理由が分かった気がした。
「・・・」
比べられる対象となったサスケはむっとしてそっぽを向く。
「人に配慮、しろ。」
イタチはサスケに呆れたような目を向ける。
自己中心的な考え方で他人を傷つけてきたサスケに、兄に言い返す言葉などあるわけもなく、サスケはふんと素知らぬふりをした。
「じゃあ、こっちにしようかな。」
サスケに言われて焦ったは、今の自分の持っている方をちりりと鳴らす。
「まだ迷っているんだったら明日でも良い。」
イタチは優しくに言って、自分の持っている簪を元に戻して言った。
それ程高価という品ではないが、だからと言って即答することは、には難しいことを理解している。
「うん。じゃあそうしても良い?」
「あぁ、もちろん。」
の優柔不断さはよく知っているので、イタチはに頷く。
はそれ程強い気質の持ち主ではない。だが、それをイタチがサポートしていけるのなら、別に問題はないのだ。
「イタチ兄ちゃんって、本当にに優しいよな。」
簪屋を出て、道を歩きながら、ナルトはイタチに言う。
は確かに気が強くないし、言わない部分も沢山あるが、そのぶんイタチもに非常に気を遣っている部分が見える。
「も俺に優しいからな。」
イタチは苦笑しながら、ナルトに答えた。
任務などで忙しいイタチなので、なんだかんだ言ってもとの時間が常にとれるわけではない。だからこそ、その時間はめいっぱい甘やかしてやろうと決めていた。
それはが体が弱い頃から変わっていない。
「それに、に対してでも、言うことは言う。」
「・・・そういえばわたしの我が儘に一番イタチが厳しかった気がする。」
「その通りだ。そして、斎先生はに甘すぎだ。」
イタチの断言に、カカシは苦笑する。
「確かにね〜まぁ、俺も否定は出来ないけどね。」
「そうですよ。どれだけ上忍もを甘やかしたか。」
イタチはぎろっとカカシを睨んだ。
が病弱な頃、訪れるのは斎の弟子のイタチと、斎の知り合いの上忍たちだけだった。斎は気さくな性格で友人も多いため、沢山の人がを訪れたが、上忍たちは病弱なを哀れみ、本当にに甘かった。
「でも、姫が我が儘って想像できないけど・・・」
サイは今の控えめなしか想像できないため、を見ながら首を傾げる。
「えへへ、」
「結構強情だったよな。」
サスケはの頑固さや幼い頃の我が儘も見たことがあるため、に白い目を向けた。ちなみに昔はの強情さにサスケはなすすべもなく、泣きそうになったことも何度かあった。
はあまり主張しない分だけ、自分がこうと決めた時には頑として譲らない。
今もそれは変わっていないが、幼ければやはり変なところでその強情さや我が儘を見せることがあったため、の扱いに慣れていなかった昔のサスケからすれば難題だった。
「兄貴は昔からの我が儘をいなすのが得意だった。」
サスケが困った時、助けを求めるのはいつもイタチだった。の扱いを熟知しているイタチは、頑固になった時のを動かす方法をよく知っていた。
「で、今では父親の斎様を動かす術まで開発した、と。」
ヤマトは納得して、イタチを見る。
現在も暗部に所属しているヤマトにとって、斎に仕事をさせる術を覚えたイタチは必需品だ。彼は昔から仕事をためまくり、挙げ句の果てにサボる傾向にある。しかも逃げ足が驚くべく程速い。
しかしイタチは彼すらも御する方法を覚えた。
「対蒼一族兵器イタチ兄ちゃんってことだってばよ。」
「なんじゃそりゃ。」
ナルトの変な命名に、サクラは微妙な顔で反論する。だが確かにナルトの命名には一理あった。
結局の所は恋人のイタチに根本的には絶対逆らわないし、父親の斎も弟子のイタチには根本的に甘い。
「そっか。イタチさんとサスケ君は姫と幼なじみなんだよね。小さい頃はふたりともどうだったの?」
サイはから見た二人の様子に興味を持って尋ねる。
確かに兄弟でも親戚でもないのに近しいというのは不思議なものだろう。
「そうだね。イタチは・・・父上とつまらないことでもっと喧嘩してたかな。」
「そうだったか?」
「うん。」
イタチはとぼけてみせるが、はイタチの恥じらいが理解できなかったのか、あっさりと頷いてから、次はサスケとばかりに彼に目を向ける。
「サスケは・・・」
はじっとサスケを見て、人差し指を自分の頬に当てる。
「サスケはね・・・素直で可愛い子だったよ。」
「今は素直じゃなくて悪かったな。」
「え?今は素直じゃないの?」
「は?」
の問いに意味が分からずサスケがぽかんと口を開けたまま硬直する。
「え?今も素直でしょう?顔にすぐ出るもん。」
は悪気もなく、事実をさらりと言った。
「・・・おまえ。」
「ほら、ちょっと怒ってる。」
の指摘にサスケは青筋を立てながらも、これでまた言い返せば同じことなのでぐっと言葉を噤んだ。
昔と今の考察