は抹茶のミニパフェと栗きんとんという微妙な組み合わせの上に、紅茶という更に和洋折衷だったが、本人は気にしていないらしく抹茶パフェを慎重にスプーンで上からすくっていく。
「おいしいいい。」
「、わたしももらって良い?」
「良いよ。サクラのももらって良い。」
「もちろん。」
の隣に座るサクラが頼んだのは、栗の大きなパフェだが、チョコレート風味で、栗は洋酒の風味がきかせてあった。
「それにしても、早い昇進だったわ。さすが斎様の娘。」
紅が果物とチーズのパフェを食べながら、ぽつりと言う。
「紅さん。その例え方がまったくわからないです。」
は不思議そうに首を傾げる。
「そうよね。斎さんって本当に変って言うか、普通って言うか。」
サクラも最近では修行をよくよくの父・斎に見てもらっているため、の意見に賛同する。
確かに忍としての技量は誰が見てもすばらしい。尊敬に値するだろう。
が、日頃は口調も今風、挙げ句遅刻癖があり、しょっちゅう任務に遅刻してくる上、家では芋虫のように布団から出るだらだらしている。
サクラは昼過ぎにの実家を尋ねた際、熊さんパジャマに枕を持って、寝ぼけた斎がぽてぽて歩いて来た時はどう挨拶をすれば良いのか分からなかった。
斎は背が高いくせに極めて童顔なので、確かに熊さんパジャマが似合っていたが、そういう問題ではなかった。
「っていうか、ちゃんって顔は斎さんにそっくりだけど、性格は蒼雪様にも、斎さんにも似ていないよね。」
ヒナタは旧家同士のつきあいから、の両親も知っている。
「そうなの?」
よく知らないいのは首を傾げてスプーンを振る。
「確かにね。」
サクラもヒナタの意見に賛同した。
の容姿は、誰が見ても親子だと思うくらい斎にそっくりの童顔、紺色の瞳と髪だ。だが性格は全く違う。
適当でいい加減、確かに穏やかではあるけれど、斎はつかみ所がない人物で、真面目ではない。
それに比べては非常に真面目で、ちょっとふんわかしたところはあるが、奔放という形容は当てはまらない。
対して母親の蒼雪は柔らかな銀髪に灰青色の瞳のすらっとした美人で、容姿も全くとは異なる上、穏やかに微笑む割に性格はどぎつい。気も極めて強い。
「うーん。最近は父方のおばあさまじゃないかって言われてるけどね・・・。」
が言う祖母はの父、斎の母親である。
既に故人であるが、彼女を知る自来也曰く、もしの性格と容姿がぴったりと来るのは、蒼梢と呼ばれたその女性らしい。
とはいえ20年以上も前になくなっており、が生まれた時には既に故人だったため、は知らないし、知っている人物もそれ程多いわけではない。
斎のいたずらにも目くじらを立てないと言うよりは気づかない、のんびりとして線の一本抜けた人だったため、ゲームやら漫画やらとちっとも修行をしようともしない斎を叱りつけることもなかったという。
ちなみにイタチはその話を聞いて、斎の性格の元凶はそれかと渋い顔をしていた。
「へぇ、おばあさまか。でも斎さんって本当は強いのよね・・・でも・・・」
サクラはため息をついた。修行を見てもらっていても、底が見えたことがない。
イタチでも敵わないという斎は奔放でいつも遅刻やらしているけれど、やっぱり実力的にはまごう事なき火影候補に相応しい人物で、それはサクラもよく分かっていたが。
「ただ納得できない。したくない。でしょ?」
「そう!その通り!」
の代弁に、サクラは大きく頷く。
「イタチも同じこと言ってたもん。」
「あのコンビ、すごいわよね。」
紅も斎とイタチのコンビを上忍になってからよく見かけるようになったらしい。
特に木の葉崩しの後、二人は上官と副官みたいな感じで書類作成をしていたり、雑務にかり出されていた。
そのため、頻繁に会う機会があったのだ。
「私、うちはイタチは見直したわよ。まぁ、を大切にしてるのも知ってたけど、こんなに優秀だったんだわ、って。」
紅は笑って自分の紅茶に口をつける。
「え?紅さん。それってどっちの意味ですか?・・・イタチの能力?父上への扱い?」
「どっちもよ。どっちも。」
が言って、紅が答えれば、ヒナタやいの、サクラもどっと笑う。
「そういえばちゃんの家、火影岩の隣だから、結構便利なんだよ。」
ヒナタがのパフェをすくいながら、カフェの外から見える窓の向こうの火影岩を示した。
ヒナタもサクラほど頻繁ではないが、たまにの家に遊びに行っている。
「狭いけど。ふたりだから良いかなって。」
「あら、うちだって狭いわよ。ちょっと窓際に花が何とかおけるくらい。アスマったら結構薄給だから。」
「うち、窓の外になんてものを置けないですよ。」
とイタチのアパートは本当に狭い。窓はあるが、窓際に花を置くスペースなどまったくない。本当に開けるためだけの窓だ。
「でもラブラブしてられるじゃない。」
サクラは肘での脇腹をつつく。
「サクラ、」
「ちょっとくらいの意地悪良いじゃない。うらやましい。」
「えー、サクラ、がどこまで行ったかしってんの?教えなさいよ。」
「いのぶたになんか教えるもんですか。」
の家に頻繁に行っているサクラは、何となくイタチからも話も聞くので、どこまでいっているかを知っている。
イタチに対して年上の男性と言うこともあり、サクラは苦手意識があったが、話してみると彼は非常に常識的で、特にのことに関してはの状況や悩みをサクラに頻繁に聞いてきたりと、のことをいつも思いやっていた。
修行を見てもらう時間も増え、最近ではたまにお互い秘密の話もしている。
「ずるいわー私も気になるじゃない。」
いのは不服そうに頬を膨らませる。
年頃の女が集まればこんなもので、恋人のいる上、恋人が年上であるはいつも質問攻めに晒される定めだった。
は横目でサクラといのをそれぞれ見て、スプーンでパフェを口に運ぶ。
「まぁでも、の両親は結婚が早かったのよね?」
紅はの両親がいつ結婚したのかは知らないが、同年代の母親達より随分若いことは知っている。
「うーん。父上も母上も17,8歳だったかも?わたし、ふたりが18,9歳の時の子供だって言ってた。」
の答えからいけば、イタチは今年で20歳で、斎は同じ年で一人娘のがいた計算になる。
の両親も結婚前二人で暮らしていたと言うから、とイタチの二人暮らしに難色を示さなかった理由はそこにあるのだろう。
「で、結局どこまで行ってるのよ!」
吐いてしまえ!といのがに詰め寄る。
「それは秘密。」
「そりゃないわよ!!サクラ、あんたなんとか言いなさいよ!」
「が言うんだから秘密よ。秘密。ね。。」
サクラもいのにまったく話す気がなく、寧ろ意地悪の機会だと思っているらしい。にやりと笑った。
「いのちゃんったら。」
ヒナタは口元に手を当ててクスクスと笑う。ちなみに実はヒナタもちゃんと知っていた。
会話