うちはの嫡男と、炎一族の姫宮はいずれ結婚すると父親に言われても、嫡男本人であるイタチはぴんと来なかった。
嫡男と言っても、弟もいる。
弟と姫宮は同い年だったから、将来結婚するのは弟かも知れないし、自分かも知れない。結婚なんてどうでも良いやという適当な考えから、父親に「はい。」とだけ答えたのを覚えている。まさかその後、姫宮の父親である斎の弟子になり、と親しくなるなんて、その時は考えていなかったのだ。
アカデミーの生徒は皆自分より年上で、皆自分を遠巻きに見ていた。
恋愛なんて気分もなく、淡い恋心を抱くはずもなく、斎の元について、と出会うまで、自分が恋愛なんかに振り回されることになるとは、夢にも思わなかった。
「でねーまたサスケとナルトは喧嘩だったんだよ。」
アカデミーに通うようになったは、ころころと学校のことをよく話す。
イタチにチャクラを封印したため、1ヶ月ほど前からは人生で初めてアカデミーに通うことになった。とはいえ、彼女は5年間一度もアカデミーに通っていなかったため、勉強をみっちり半年イタチと斎が教えてから、通常の6年生に入れられた。
来年卒業するその学年は、幸いにとってそれ程勉強が難しい訳ではなく、は毎日楽しく学校に通っている。何人か友達も出来たらしく、楽しそうにその内容を話すことも増えた。
「サクラはサスケのことが好きなんだって。」
はにこっと笑って楽しそうに言う。
「サスケはもてるのか?」
「うん。すっごく。」
強調されたところを見ると、どうやらもてもてらしい。
「イタチももてた?」
「まさか。」
無邪気に尋ねてくるが少し憎い。イタチは自分が小さい頃を思い出して、ため息をついた。
当初年齢が他の子どもよりも下だったため、子ども扱いされていたことしか覚えていない。そのくせイタチはアカデミーで一番強かったし、勉強も一番出来た。しばらくすれば遠巻きにされてもてるどころではなかったと思い出す。
「ふうん。今はもてる?」
は紺色の大きな瞳を瞬かせる。
「なんだ、もてて欲しいのか?」
イタチはを引き寄せ、内心を押し殺して唇を少し引き上げる。は少し考え込むようなそぶりを見せてから、イタチの肩に頬を寄せた。
「うぅん。よくない。」
俺を虜にした責任は取ってくれ
( よくないのは俺の方だ )