が22歳になる誕生日の日は忙しかった。昼、をサクラに買い物に連れ出してもらい、同期も含めて皆で炎一族邸の東の対屋で、料理を持ち寄り、用意をし、誕生日パーティーを行うことになっていた。




「ねー、これどこ?」




 くるくるとイタチそっくりの黒い瞳をぱちぱちさせて、稜智は近くにいたサイの服を引っ張る。稜智の手にはひらひらの飾りが握られていた。自分で作ったのだろう。



「これはね、上だよ。」

「うえぇええ。」




 3歳児の稜智に手が届くはずもない。むぅっと唇をへの字にして上を見上げる。





「ほら。」





 サイは稜智にセロハンテープを渡し、それをちぎらせてから、稜智を抱き上げた。自分で彼が貼ることが出来るようにだ。





「ん!あいがと。」




 稜智はサイにお礼を言って、また別のを取りに行く。





「可愛いなぁ。」

「おまえの口からそんな言葉が出てくる日が来るとは思わなかったね。」





 カカシがサイの隣で口元に手を当てて笑う。

 確かに数年前のサイならば、子どもを疎ましく感じることはあっても、可愛いと思うことはなかっただろう。だが、今は稜智を心から可愛いと思える。





「これ、どうすれば良いんだ?」




 イタチはサクラが置いていった鍋を見て、眉を寄せる。




「なんかみどりぃ。それもおいしそうじゃない。」




 稜智は父親の手元をのぞき込み、子どもならではの素直な感想を漏らす。

 サクラは基本的にお菓子に関してはうまく作るが、それ以外は医療忍者になったせいか、健康的な食事と言いながらまずいものを作る。確かに健康的には良いのかも知れないが、二口目は絶対に食べたくないようなものばかりだ。




「今回は誰が犠牲になるかだな。」




 サスケもあからさまに口の端を引きつらせた。

 ちなみに犠牲になる確率が一番高いのは最近、サスケだった。なんだかんだ言ってサスケに鬱憤のたまっているサクラは、どうしてもサスケにその矛先を向けたがる。

 二番目に確率が高いナルトは任務なので、後からやってくるだろう。




「もうそろそろが帰ってくるな。」




 の同期だったシカマルが、大きな「誕生日おめでとう」の横断幕を広げて言う。





「あぁ、いのとヒナタも一緒に戻ってくるだろう。」




 イタチはシカマルに頷いて、その横断幕を春のを手伝った。







きみの視界をしあわせで埋め尽くしたい