「ちーえ、とはーえはいつから、いっしょだったの?」




 息子がそんなことを唐突に聞いたのは、三歳になった頃だった。イタチとは顔を見合わせて、少し考え込む。





「俺がに会った時、はおまえと同じくらいの年だったな。」

「おれと?」





 稜智は感覚がつかめないのか、小首を傾げる。

 イタチがと出会ったのはが二,三歳だった頃だ。イタチは斎の教え子であり、当時七,八歳だった。イタチにとっては師の娘であり、同時に最初はサスケと同い年のが一人家に取り残されるのが可哀想だと思っていただけだった。





「いつからすきだった?」

「…そうだな。俺は十歳になる頃には自覚はあったな。」




 顎に手を当てて思い出す。

 もう随分昔のことだったため、もちろん記憶はおぼろげだが、少なくとも十歳になる頃には任務で訪れた短冊街でのためのプレゼントを買うくらいには好きだった。他の友人や女にプレゼントをあげようと思ったことは欠片もないので、既にその頃には好きだったのだろうと思う。





「え、そんなに昔からだったの?」




 は知らなかったのか、驚いた顔をする。




「はーえはどうなの?」




 稜智はイタチに似た漆黒のくるりと丸い瞳を母親に向けた。




「え、えっと、うーん。わたし、仲が良い人って、イタチにしかいなかったから。」





 アカデミーに全く行っておらず病弱なを見舞うのは、決まって大人ばかりだった。子どもだったのはイタチだけだったので、確かにイタチしかいなかったというの言葉は正しい。




「小さい頃から一緒にいるのを“幼なじみ”って言うんだよ。」

「ふーん。じゃあ、ちーえとはーえは“おさななじみ”?」

「うん。ちなみにじーじとばーばも幼なじみだったんだよ。」





 の両親である蒼雪と斎も幼なじみ同士だったと聞いている。イタチとだけでは無いと言うことだ。




「ふーん。じゃ、おれはさすけとなるとがおさななじみ?」




 同年代の子供が近くにいないため、稜智が小さい頃から一緒にいるのは、ナルトとサスケだ。イタチは苦笑しながら息子を抱き上げて、首を振った。




「二人はおまえのお兄ちゃんだから、違うぞ。」

「たしかに、にーにだもんね。」





 稜智は満面の笑みを浮かべてイタチに抱きつく。多分子どもの彼は未だに幼なじみの意味を理解していないだろうが、それでも両親が昔から仲良しだったことに満足したようだった。





きみへと続くやわらかな道