彼女の白い襦袢の襟元に手を入れて首筋を撫でると、はびくっとして不安そうにマダラを見上げた。




「マダラ、さん?」




 こんな時まで無邪気に何も分からず、名前を呼ぶ彼女が憎い。

 細い首筋を強く自分側に引っ張り、無理矢理首筋に痕を残すために強く吸い付き、襦袢の腰紐に手をかけて一気に解く。




「いっ、」




 強く吸い付きすぎたのか、彼女が悲鳴を上げ、次の瞬間腰紐が解かれたことに気づいてマダラの手を留めるように掴んだ。

 紺色の瞳と漆黒の瞳がまっすぐ交わる。だが、マダラはその純粋な瞳が耐えきれなくなって目をそらした。まったくは安心しきっていて、そういう対象としてマダラを見たことはなかったのだろう。未だに不安そうなだけの瞳からそれがわかって、マダラの方がずきりと痛む物を感じた。

 しかし、こうなってしまった以上は仕方がない。



 ――――――――――――――おまえ以外でも良い。




 頭領であるマダラの妻にするのが確かに望ましいが、誰でも良いと長老達は言った。マダラがこの行為をしなければ、は他の人間のものになるだろう。そこでどう扱われるかなんて分からないし、何よりもマダラはそれが不快だった。





「…」





 謝罪の一つでも口にすれば良かったのかも知れない。

 だがマダラはそんな中途半端なことは出来なかった。どちらにしてもこちらの事情と勝手な理由で彼女を娶ることになるのだ。ましてやマダラは心のどこかで無理矢理のその決定すらも喜んでいた。その罰は受けなければならない。

 マダラは無理矢理の桜色の唇に自分のそれを押し当てる。




「んっ、」




 紺色の瞳が丸く見開かれ、次にきつく眉間に皺が寄るほどつむられる。

 それを横目で眺める余裕もあるマダラは舌で彼女の唇を押し開き、歯列をゆっくりなぞり、何度も角度を変えて唾液を送り込む。息継ぎがうまく出来ないのか、は苦しそうに唇を僅かに離す間に懸命に空気を吸おうとした。

 だが、次の瞬間、ばっとマダラは唇を離す。噛まれた。

 手も離れたその瞬間、は立ち上がり、部屋の隅へと逃れて壁を背にして、自分の着物の襟元を震える手でかき合わせた。庭の方へ逃げなかったのはマダラの後ろが庭だったからだろう。




「ど、どうして、」



 信じられないとでも言うように、ふる、とは首を横に振った。紺色の瞳は涙で一杯になっており、彼女が瞬く度にぽたぽたと頬を滑り落ち、怯えた眼をマダラに向ける。彼女からそんな目を向けられたのは初めてで、マダラは少なからずショックを受けたが、ぐっと拳を握りしめる。





「俺が、うちはの頭領だから、だ。」






 マダラは立ち上がり、部屋の隅で自分の体を抱えて震えるに近づく。





「やっ、」




 そう言って自分を守るように突き出された両の手を無理矢理掴み、一つにまとめる。それを先ほど解いた腰紐で縛り付け、彼女の頭上にあった着物などを掛けるためのフックに引っかける。




「やだっ、」




 は必死で抵抗したが、大人のマダラとまだ15歳のではれっきとした力の差があり、多少踏ん張ったところで覆る物では無く、されるがままに縫い止められるしかなかった。逃げられず、座り込むことも出来ないままつながれたは哀れなほど体を震わせたが、後ろが壁のため、どうすることも出ない。

 着物の前がはだけ、幼い体が露わになる。

 慰め程度の膨らみしかない胸元の左側には刀傷がまだ残っている。彼女が自殺しようとした時のものだ。しかしそれ以外、彼女は争いに巻き込まれたことがなく、体にはなんの傷もない。真っ白なままだ。足は細くすらりと伸びるだけでまだ女性としての丸みは少ない。だが、蒼一族としての成人の儀は終えているから、もう初潮は来ているし、何をされるかも分かっているだろう。

 くびれた腰から、丸みを帯びた尻をそっと撫で、太ももへと手を這わせて足を開かせようとすると、立ったままの体勢がきついのか、それとも嫌なのか、身を捩って触る手から逃れようとした。だがどうせ無意味だ。




「大人しくするなら、褥に戻してやる。」




 流石に彼女もこんな吊されたみたいな格好で処女を失うのは嫌だろう。マダラとてそのぐらいの慈悲はある。だが、は首を横に振った。





「や、ぁ、や、めない、もん。」




 震える声で、彼女は声を必死で絞り上げた。の勘がそう告げているのだろう。

 やめないと分かっているならば、抵抗をやめたら良いというのに、彼女は恐怖故に大人しく従うことは出来ないのだ。がたがたと体を震わせる彼女は哀れだったが、マダラは露わになった首筋へと、ゆっくりと口付けて痕を残すと同時に、閉じようとする足の間に自分の片足の太ももを入れ、押し上げるようにして足を開かせた。

 ぐりっと片足で彼女の股間に圧をかけたが、彼女が性的な物を感じることはなく、怯えが増しただけのようだった。





「そ、そん、なとこ、」






 詳しくは教えられていないらしく、自分の指に唾液をつけて彼女の股間に手をやると、彼女は顔を真っ赤にして震えた。やはり彼女の陰部は全く濡れていない。恥丘を軽く撫でてから、濡れた指で陰核を擦ると、彼女の体が跳ね上がる。





「ぁっ、んっ、な、」





 知らない感覚に震える声には、先ほどのような怯えだけでは無い物が、混じっていた。自然とマダラの口元が上がり、執拗にそこをなぶる。





「うぅ、ひっ、んん、」





 は感覚が嫌なのか何度も首を振って、足をばたつかせて逃れようとしていたが、マダラの太ももに足を開いて乗っているような状態ではどうしようもなく、後ろも壁だ。仕方なく彼女は唇を噛んで声を押し殺した。




「声を殺すな、気持ち、良いか?」




 彼女の唇を人差し指で押して、彼女の口にマダラは自分の指を滑り込ませ、唇を噛むのをやめさせる。

 幼い彼女でも陰核ではちゃんと感じられるらしい。乳房のあたりが何度も苦しそうに上下するのを観察しながら、唇で痕を刻んでいく。赤い点々とした痕を見れば、うちは一族の誰も彼女に手を出そうなどを思わないだろう。 

 マダラの恐ろしさを一番知っているのはうちは一族だ。




「やぁっ、んん、ぁあ、あ」




 震えることも出来ない程にの体は力が抜け、陰部に僅かなりとも潤いが出来る。それを確認して、中に指を入れようとしたが、その途端にの体が緊張したのが分かった。




「いっ、」




 指一本だったが、すごい圧迫感と共に、が悲鳴を上げ表情を歪ませた。




「力を抜け、」





 体に力がはいらなければ濡れてもいるので、指くらいなら入るはずだ。しかし怯えきり、痛みまで感じてしまったはマダラが言った言葉もろくに聞こえていないようで、表情を歪ませたまま逃げようと身を捩った。

 逃げられない、無理だと分かっていても、受け入れられないのだ。




「痛、いたい、」



 指を無理矢理中に入れたまま中を探ると、は涙を流してうわごとのように訴えた。痛いのは中だけではなくて、きっと心も痛いのだろう。

 それは彼女にとってこの行為がまだただの痛みをもたらすものだということを示していた。




「それ、でも、俺は、」




 自分が痛いほどに興奮しているのが分かる。

 こんな小娘一人に興奮するなどばからしい話だと言うことは分かっていたが、走り出してしまったものが止められるはずもない。

 痛みで泣きじゃくる彼女の中を性急にほぐし、二本目を入れるとまた悲鳴が上がった。ただ苦痛にまみれただけの声だ。どんなに口づけても、肌を撫でても彼女の緊張はまったくほぐれず、寧ろ悪化するばかりだ。





「俺は、な。」





 そっと片方の手で、マダラは涙で濡れたの頬を撫でる。

 自分を取り出し、彼女の陰部に溢れた蜜と慣らすようにすりつけると、嫌だ、助けてとでも言うようにが紺色の瞳を向けてきた。一瞬だけ心が痛む。だがそれは征服欲と独占欲に比べたら酷く些細なものだった。

 ぐっと誰も入ったことないその場所に、彼女の足を持ち上げ、無理矢理壁に彼女を押しつけるようにして踏み入れる。その瞬間彼女の口から漏れたのは聞いたことも無いような悲痛な悲鳴だった。





「ぁああああああああ!」





 びくっと玩具のように彼女の体が大きく跳ね上がり、マダラを拒む。一気にと思ったが、そう簡単ではなく、酷い圧迫感にマダラの方が熱い息を吐く。大きな悲鳴も気にならない。立っている体勢なので、彼女の自重で一気に入ると思ったが、引っかかる。




「やぁああ、いったいぃ、うぅ、」




 少しずつ奥まで進めようとすると、はまた悲鳴を上げて、痛がった。相当痛みが酷いようだったが、ある程度まで入ると、ずっ、と無理矢理壁に押しつけてやれば、最後まで彼女の中に収まった。しかしまだ幼く浅い彼女の中に入れても、少しあまる。




「入った、な。」



 壁に肘をついて、片手で彼女の尻を掴んで自分の方に引き寄せる。それだけで彼女は悲鳴を上げ、苦痛とともにマダラのものを強く締め上げた。




「ひっ、ぅ、ぅ、」




 痛みのせいか、それともこの仕打ちを嘆いてか、は痛みが増すだろうにしゃくり上げてマダラの腕の中で泣いていた。それが拒否されているようで酷く不快だったが、今この腕の中で自分のものになったという事実に変わりはない。

 少し自分をなじませてから、動き出す。




「ひっ、あぁ、いたぃ、あ、うぅ、」




 揺する度に、痛みしか感じていないは酷く泣きじゃくる。だがそれすらもマダラを興奮させる材料にしかならなかったし、ひくりとしゃくり上げる度に震える腹はマダラをきつく締め付け、快楽を簡単に煽っていく。


 すべてが変わっていく。ただの子どもだった少女は大人になる。マダラは酷い満足感と満たされた独占欲を抱えたまま、無垢だった少女のすべてを変えた。





間違え、た。