薄桃色の襦袢の襟元をはだけさせれば、白い肌が浮かび上がる。
一応忍としてイタチと逃亡生活を歩んでいたはずなのに、の躯には傷はほとんど無く、暗闇の
中では真っ白に近く映る。
緊張しているのか小さく震えていたが、頬を手で撫でてやると嬉しそうに微笑んだ。
その顔は、反則だと思う。
柔らかな唇にそっと口付ければ、躊躇いがちながらも応えてくる。
軽く啄んで、離れて、今度は深く口付ける。
いつもとは違う性的な意味を含んだ戯れではない口づけに、は慣れていないのか、浅い息をす
る。
兄の、寵愛を受けていたはずの。
けれどちっとも慣れているふうがなくて、花街の女ばかり相手にしていたサスケからしてみたら
新鮮だ。
真っ赤に頬を染めてどうすればいいか迷っている女なんて花街にはいない。
の太ももに手を沿わせて、滑らかな肌の感触を楽しむ。
は撫でているだけなのに、怖がるように躯を硬直させた。
はだけた胸元からのぞく胸の頂は僅かにとがっているが、豊満とは言い難く、膨らみはささやか
だ。
それでもサスケとは全く違う体のつくりをしている。
帯を取り去ってしまえば、完全に襦袢がはだける。
腰はサスケが手を回せるほど細く、腰もいまいちしっかりしていない。
腹は薄くあまり肉はついていない。
太ももの付け根に指を滑らせると、薄い腹がぴくりと動いた。
その反応から、酷く緊張しているのがわかった。
「大丈夫だ。」
怖がらなくても、酷くするつもりはない。
サスケは片手での頬を撫で、優しく頬に口付けてやる。
不安げに眉を寄せたはきゅっとサスケの服を掴んで小さく頷いた。
怖いのは仕方ないのかも知れないが、出来るだけ不安を感じさせたくはない。
は恥ずかしいのか、顔をそらしてきつく目を閉じている。
片手をの頬に持っていって、こっちを向くようにして、また口付ける。
キスは苦手のようで、眉根に皺を寄せた。
力がうまく入れられないようで、たまに腕が上がるけれど、結局サスケの服をかすめて終わる。
がキスに手一杯なのを良いことに、サスケはそっとの足の間に自分の躯を滑り込ませた。
ぴくりと細い躯がはねて、僅かな抵抗を見せるが、それも押さえ込む。
「ぅ、んん、さ、すけ、」
小さな手がサスケの頬に触れる。
口づけをやめれば、涙で濡れた瞳が、サスケを映す。
その瞳は硝子玉のようにゆらゆら揺れていて、自分の中の男が急に頭をもたげた。
幼げで、それでいて確かな熱を孕む瞳。
大人ではない、子供ではない、微妙な線を彷徨うの姿は、男の支配欲をくすぐる。
サスケはの膝から太ももまでをゆっくりとなで上げる。
はそれだけで体を震わせて反応した。
筋肉のあまりついていない柔らかな太股は強く掴んだだけで僅かに赤い痣が出来る。
肌が薄いのか、息苦しさのためか、胸元が薄紅に染まっていた。
「、」
「ひゃっ」
耳元に唇を寄せて名前を呼んで、耳朶を軽く噛むとは悲鳴を上げた。
耳が弱いのか、サスケの肩の服を握りしめて肩をすくめる。
手は小刻みに震えている。
サスケはそのまま唇での首筋をなぞる。
軽く吸い付けば、白い首には赤い痣ができた。
わざと痣を舌でなぞれば、がますます躯を硬くする。
慣れていないにも程がある。
まだ戯れにしか過ぎないような行為だ。
遊女なら睦言の一つでも呟いて艶やかに微笑む物だが、にはそんな余裕すらないらしく、目を
つぶって声を抑えるのに必死だ。
「、こっちを見ろ。」
すぐ顔を背けてしまうに、サスケは言う。
おずおずと瞼を上げるは、唇をきゅっと引き結んで、眉を寄せていた。
皺の寄った眉間に口付けて、の心臓の上に手を当てれば、限界だと言うほどに早く脈打ってい
た。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょ、うぶっ、」
尋ねれば、すぐさまは答える。
すぐに答えなければサスケがやめてしまうのではないかと、不安がっているのだ。
あまりに必死の様子に苦笑しながら、サスケはの太ももにあった手を上へと這わせる。
下着の上からこすれば、の躯が大きくはねた。
楽しむように上の方を少しこすれば、サスケの肩にあったの手は褥の上に落ちて、ぎゅっと褥
を握りしめる。
「ぅ、ひっ、うぅ、」
唇を噛んで小さなあえぎ声を漏らす。
声を聞かれるのは恥ずかしいようで、声が溢れそうになると右手を噛んで悲鳴をかみ殺した。
サスケはの顔の傍に右肘をついて、の右手を褥の上に押さえ込む。
「ぁ、さす、ひっ!ぁ、ぅう、」
声をうまく殺すことが出来ず、桃色の唇からひっきりなしに声が出る。
少しでも声を止めようと躯をずらしたり、左手で枕を引き寄せようとしたが、許さない。
しばらくは下着の上からこすっていたが、腹を一度撫でてから、下着の中に手を入れる。
は震えはしたが止めることは出来ず、涙で濡れた睫毛を上げて、サスケを見た。
「怖いか、」
「ぅ、うん。」
の答えは、素直だった。
サスケはの口を塞ぐように、かみつくように接吻をした。
の躯の入り口を何度かこすって既にある蜜を指に絡めてから、狭い穴に押し込むように指を滑
らせる。
の悲鳴が口の中に融けた。
唇を舐めて離れ、を見れば、何度も浅い呼吸を繰り返していた。
鼻から息をするのが苦手らしい。
子供のようだと思う。
躯もまだ、大人にはなりきっていなかった。
「さ、サスケっ、痛っ、痛い、」
閉じた目からぽろぽろ涙をこぼして、が訴える。
「濡れては、いるんだがな。」
きついなと、サスケも思う。
の中は酷く熱い。ぬるりとした感触と、圧迫感は女の躯独特の物だ。
奥へ奥へと進めれば、はサスケに握られた右手に爪を立てた。
胎内の入り口の上にある花芽をサスケは親指で軽くこする。
中はまだ苦しいなら、こちらで快楽を与えてやればいい。
の感度が良いことを考えて軽くのつもりだったが、敏感になったにはあまりに強い刺激だった。
「ひっ!やぁ、ぁ、あ、」
くしゃりと顔を歪めて悲鳴を殺すことも忘れてが喘ぐ。
痛みが頭の中の感覚に融けていく。
代わりに熱を煽られたは、自分でどうにも出来ない感覚に怯えて首を振ったが、サスケがやめ
る気配はなく、どうすることも出来なかった。
「ぁや、やっ、さす、やだ、ゃぁ、あう、」
勝手に熱が波のようにひいては押し寄せてくる。
どんどん大きくなる波に耐えるようには一生懸命正気を保とうとするが、無遠慮に花芽をこす
られ、気持ちとは裏腹に快楽に呑まれていく。
の中は浅い上に狭いが、花芽で快楽を出来るようだ。
「一度、逝っておけ、」
サスケはを安心させるようにの右手を離し、の髪を宥めるように撫でる。
「やだ、ゃだぁ、怖ぃ、いやぁ!」
何度味わっても慣れない感覚をは頭を振って振り払おうとする。
躯を動かして逃れようとすれば、サスケが自分の躯で押さえ込む。
まとわりつく感覚から逃れられない。
声を抑える余裕すらない。
「助けっ、て、や、やだぁ!」
胎内の指が増やされたことすら、もう何が何だかわからず、この快楽を与えているのは目の前の
サスケなのに、は知らず知らずのうちに助けを求めていた。
「大丈夫だ。な、」
耳元で囁かれる低い、優しいけれど残酷な声音。
それに煽られてか、
「ゃ、やだぁ、ひっ、うぅ、ぁあああああ!!」
これでもかと言うほどは奥歯をかみしめ、波に身を委ねた。
荒い息を吐けば、うまく焦点を結べない瞳にぼんやりサスケが映る。
まだ痙攣して握ることも出来ない右手に、大きな手が絡められる。
イタチほど大きくはないけれど、固くて、力強い手。
は苦しさに喘いで目を閉じた。
の呼吸が落ち着くのを待つように、サスケはと額を合わせて目を閉じる。
ゆっくりと、呼吸が落ち着いていく。
「いけそうか、」
サスケはの頬に口付けて、確認するように尋ねる。
その意味は、だってわかっている。
は紺色の瞳を揺らして、サスケを見上げる。
この目に映っていたのは、いつもイタチだった。
けれど、これほどゆっくり彼の顔を見たことは、まったくなかった。
いつも促されるまま、必死で応えた。怖いと感じながらも始まれば何かを考える余裕などなく、
それが当然のように思っていた。
庇護の対象で、彼にとってはいつも女だった。女として以上に、求められたことはなかった。
サスケにとっても、が女であることは変わりないだろう。
でも、女としてだけではなく、一緒に歩む存在だと思ってくれているから、確認してくれる。
の意志を小まめに確認してくれる。
彼となら、もう一度やっていけるかも知れない。
今までとは違う求め方をされているからこそ、進んでいけるかも知れないと、感じた。
はサスケの左手をとって、頬を寄せる。
「大丈夫、」
淡く微笑んで告げれば、サスケの躯が動く。
ひたりと胎内の入り口にあたる物に何故か叫び出したいほど恐怖を感じたが、少し手に力を入れ
ただけで何とか平静を装った。
しかし、次は無理だった。
「ぅくっ、」
中を無理矢理開かれ、ねじ込まれる感覚。
は昔からこの瞬間が苦手だった。
徐々に中に入ってくる熱に、はサスケの手に気付かぬうちに爪を立てる。
久々ということもあり、力の抜き方もわからない。
「ぃっ、ぅ、ま、まって、」
歯を食いしばっても、声が漏れてくる。
躯が引き裂かれるような痛みが走り、はとうとう制止の声を上げた。
先ほど落ち着いていた呼吸もこわばって酸素すら取り込めない。
サスケも流石に気付いたのか、躯を進めるのをやめた。
サスケですら息が上がる、僅かに引きつるほどの締め付けだ。
は苦しいに決まっている。
「はっ、まだ、だな」
奥まで入っているわけではない。
もう少し我慢してもらわなければならないのだが、の様子を見ればもう限界まで耐えているよ
うで、無理は言えそうになかった。
サスケは自分を落ち着けるように深呼吸をする。
指を差し入れた時あまりにきつかったから、蜜さえあれば入れるかと思ってイかせたが、考えが
足らなかったようだ。
もう少し時間をかけて慣らすべきだったともはや意味のない後悔をする。
「さ、すけ、手、」
顔をそらしていたが、あえぎなのか呼吸なのか区別もつかない掠れた声を漏らす。
の顔の横についての手を掴んでいたサスケの手には、血がにじんでいた。
痛みのあまり、が爪を立てたらしい。
「ごめっ、ん、ね、」
真剣な顔で瞳に涙を溜めて謝るから、サスケは状況も忘れて笑ってしまった。
多少かすり傷がつこうが引っかかれようが男のサスケには関係ない。
の方が苦しいだろうに、そんな些細なことを律儀に謝ってくるがおかしくて堪らなかった。
が目でまた傷をつけてしまうから手を離してくれと訴える。
だがサスケはそのままの手を握ったまま、に口付けた。
「うぅ、んっ、ぁ、ぅん、」
舌を絡め、吸えば、も躊躇いがちながら応える。
それを確認して、サスケは躯を進めた。
の大きな瞳が丸くなる。
「ふっ!、んっ、ぁ、さ、」
名前を呼ぼうとした舌を絡め取り、言葉を奪う。
ちりりと手に痛みが走り、がまた爪を立てたのがわかったが、そんなこと気にならないほど
の中は大きく収縮した。
半ば無理矢理ねじ込めば、はくぐもった悲鳴を上げながら受け入れる。
行き止まりにたどり着いて、軽く奥を押せば、の躯は大きく跳ね上がった。
最後まで自分を治めて、サスケは口づけをやめる。
軽く噛まれたので、自分の舌をなぞれば血の味がした。
「ぁ、ぁぅ、ぅ、ぁ、」
が漏らす声は、もぅ言葉の意をなしていない。
重ねた腹が、ふれあっての荒い呼吸を伝えてくる。
結合部分を確認するように指で触れれば、僅かに桃色の液体が指につく。
慣らしたつもりだったが、裂けたらしい、
もはや意識も曖昧なをこれ以上苦しめるのも可哀想だが、こちらとしても何もせずには収拾が
つかない。
「すぐに、終わる。我慢してくれ。」
懇願するように告げれば、は朦朧とした意識の中で健気にも僅かに頷く。
そのままでも苦しい中を、無理矢理かき回す。
引きずり出して、また押し込み、それを繰り返せば、男は自然と快楽が得られる。
「はっ、っ、」
息を整えながら、自分を高めていく。
「ぁあっ、あ、あぅ、ぁ、あ、ぁっ、」
痛みで呆然と焦点の合わない目を彷徨わせるは哀れだったが、飾らない、飾れない幼い悲鳴が
酷くそそる。
歪んでるな、
自分でもそう思いながら、サスケはの躯に溺れるのをやめられなかった。
千切れた痛覚
( 苦しさと 痛みと、 それでも生きている )